創立40周年を迎えて

今西 祐一郎(国文学研究資料館館長)

 昭和47年(1972)、品川区戸越の地に誕生した国文学研究資料館は、平成24年(2012)の本年、創立40周年を迎えます。その間、館の基幹事業である、全国各地に所蔵される国文学関連資料の調査とそのマイクロフィルムの収集活動は、各地域在住の研究者の協力を得て、すでに18.6万点、4万リールに及んでいます。そして、所蔵者・所蔵機関の協力によるマイクロフィルムの紙焼き製本版も7万5千冊を越え、研究者に貴重な資源を提供しているところです。
 また、日本文学に関する参考図書、研究書(16万冊)、雑誌、研究機関の紀要等の刊行物(8千誌)の備えも、日本一の規模を誇り、国内のみならず、海外の日本文学研究者からも日本文学研究の拠点として認められています。
 ところで、古典籍原本の収集は、上記の調査・マイクロフィルム収集を主たる事業とする国文学研究資料館としては主要業務ではなく、したがってそのための予算措置も講じられていません。しかし、古典学にとって原本の収集・所蔵はやはり欠かすことは出来ません。館では従来、経常経費をやりくりして細々と原本収集につとめる一方、外部の研究者、蔵書家から貴重な資料を寄託していただいたり、寄贈していただくことによって、その欠を補ってきました。昨年度は、田安徳川家の「田藩文庫」850点、佐渡の鵜飼文庫1,350点の寄贈を受け、当館の和古書の所蔵も一段と充実してきました。
 この40年間は、しかし、時代の流れにつれて、様々な対応や変身を求められた40年でもありました。たとえば、技術のめざましい進歩による資料の電子情報化、国際交流の促進、総合研究大学院大学への参加による大学院の設置、国立大学法人化に連動した大学共同利用機関の法人化、そして、何よりも当館にとっては大問題であった立川移転などです。
 それぞれの問題については、その節目節目にいろいろな議論が交わされたと聞き及んでいますが、今日、そのいずれもが過不足なく機能しているのは、歴代の館長以下、教職員の方々の先見の明と努力の賜物だと感謝の念にたえません。
 移転5年目を迎える立川の新施設の概要については、これまで「国文研ニューズ」などでご紹介してきたとおりです。館創立40周年の今年は、鴨長明の『方丈記』が書かれてから800年にあたる年でもあります。館では中世文学会の協力を得て、来る5月25日より、創立40周年記念の特別展示「鴨長明とその時代―『方丈記』800年記念」を開催いたします。多数のご来場をお願いするとともに、本年も国文学研究資料館に対するご支援・ご鞭撻をお願い申し上げます。
 

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